いこまや通信No.10 1997年2月発行

農業あれこれシリーズ④ 生命のつながり「食物連鎖」

自然界の仕組みは実に合理的で、稲はイナゴに食べられ、イナゴはカエルに、カエルは蛇に、蛇は鳥に、鳥は死んで草木に、草木は腐って土壌微生物の餌になり稲が育つという関係。

この鎖のひとつが切れると全体の連鎖がこわれ、餌を食いつくした生物は滅びるしかなく、それを餌にしていた別の生物も滅び、やがて全てが滅びるのが「食物連鎖」と言う自然の流れです。

例えば農業者が大量の化学肥料や農薬を使う事で、微生物が滅び、地力は衰え、その生産物を食べる人間も衰え、さらに家庭では合成洗剤の排水を垂れ流し、 水を汚します。

近年、わけのわからない病気、病人が増えてきているのは、人間がこの「食物連鎖」の流れを断ち切っているからです。

地球上で動物、植物も命あるものは全てが何らかの関連があり、決して人間の為だけの地球でない事を知らなければなりません。

正月の回想

昭和64年(平成元年)の正月は、難病を宣告され、何も食べる事もできず悲嘆のドン底でした。

人間として思い通りに食べる事ができないのが、どれほど辛いか、その苦しみは 妻や子供たちの気遣いも理解できないまま「おまえ達のせいだ、うるさい」と八つ当りしていました。

そんな時、妻が知人から紹介された、あなたと健康社の「自然療法」の本に出合いました。

そこには何が自然か。

人間も自然界の一員、だから自然の姿を見つめ、自然に沿った生き方をしなさい、今までの間違った生き方を改めようと思う時、自然はいつでも応援してくれますとも書いてあり、何故か心が洗われるような感動を覚えました。

以来「玄米菜食の実行」と「心の切り替え」に努め、著者の東城百合子先生から、自然酒 を扱う「和蔵会」片山雄介氏の存在を知り、入会もさせて戴きました。

体力も回復し、仕事も順調に進み出した矢先の大地震、もう商売はできないと半ば諦めかけました。

東城先 生宅で子供を預かって頂き、「竹は節をえて強くなるのよ、ひとつの節目と考えなさい」と励ましの言葉、また片山氏の「日頃の信念を見せろ」の言葉にも勇気づけられました。

とにかく、ゼロからの出発としてもう一度やり直そう、この苦しみを「天命として楽しも う」と思い込み、多くの人達の協力で新店舗はできました。

震災より二年、朝日新聞の 手記募集に、今までの思いを投稿しました。

大きく掲載された事で私の生き方を認めて戴き、励ましのお手紙も頂き、素直に喜んでいますが、反響は様々でした。

「あんたの処は いいよなー」と言う商売人、これは笑って見過ごせばいいのですが、「有名になったら私は来ないからね」と言った人もいました。

とっても悲しい言葉でした。普段から親しくお話をしているのに全然気持ちが通じていなかったのです。いい勉強になりました。

今後も商売に対する私の思いは少しも変わりません、よろしくお願い致します。

※本記事は掲載当時の店主の主観および情勢に基づくため、掲載内容の正確性・信頼性・最新性を保証するものではございません。

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